「解脱」への道 その2

インド哲学 ウパニシャッドほか
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前回の続きになります(^^♪

/https://meurydice.com/how-to-attain-moksha/

How to プルシャルタ(続き)

プルシャルタというのは、悟りのために行う最高の努力のことを表します。例えば、自分の時間を娯楽よりもウパニシャッドを学ぶ時間に充てる、ヨガの実践に費やす、など。

自分の時間を何に費やすか、最もプライオリティを高く設定する物事とは何か…これは完全に個々人の「自由」な選択に委ねられていて、それぞれが自分の好きなように「選べる」事項ですよね。

ブラフマンの知識を得るためには、この努力(プルシャルタ)は不可欠であると考えられています。冷静に考えると結構ハードルが高い(笑)ような気が…

「いやー、そんなの無理だわ」という人の方が、きっと「普通」で大多数なんだろうなぁと思います。

でも、少しずつ「解脱に向かって進みたいかも!?」と思い始めた人にとっては、このプルシャルタは全く苦痛に感じられなくて、むしろ学ぶことそのものに深い喜びを見出せる状態…ではないかと(主観です)。

そういうレアな(笑)人たちのことを表す言葉があります。「ムムクシュ」と呼ばれる人々で、彼らは「もう輪廻転生から離れたい」と真剣に考えている層になります。

ウパニシャッドを学ぶ、ということは、それら「ムムクシュ」たちが至高のブラフマンに到達するのを助ける、と考えられてています。

実は、「ウパニシャッド」という名前そのものの中に、そういう深い意味が含まれているんです!! (インド哲学の先生から学びました) 

さらに、たとえ学び始めは(難しくて) 分からなくても、真摯に学び続けることでいつか分かるようになる時が来る、という意味も同時に、この「ウパニシャッド」という言葉の中に隠されていることも教えていただきました。

プルシャルタに必要なこと❶ ヨガの実践

一つは、やはりヨガの実践を通して、心身が「ある程度は浄化されていること」が必要かと思います。

前回書いた通り、「ヨガの実践」は単にアーサナ(ヨガのポーズ)を行うことだけではなく、生活・生き方の全てを指していますので、特に以下に示す「感情」に支配されない精神を養うことは大変重要になってきます。

「6種の内的な敵」とされているそれらの感情とは、「欲情」「怒り」「貪欲」「執着」「傲慢」そして「嫉妬・妬み」のことです。

毎日のヨガの実践を通して、これらの感情にできるだけ心を動かされないよう、制御できるようにひたすら修行・精進・努力すること…このことによって自然とプルシャルタに近づくのでは、と感じます。

プルシャルタに必要なこと❷ ラジャス質からの解放

もう一つの大きな要素としては、「ラジャス質から解放された」状態になることで、サットヴァ質によって聖典を勉強できるようになる、ということが挙げられます。

これもちょっと、何言ってるのか分からない…ですよね(^^;)

まずは「トリ・グナ」について、説明しなければなりません。誰もが3つの(=トリ)グナ(性質のようなもの)を持っていると考えられていて、それらは「タマス」「ラジャス」「サットヴァ」という名前で呼ばれています。

「タマス質」は主に体のメンテに必要な性質で、例えば睡眠で夜8時間は通常多くの人がこの「タマス」のために時間を費やしています。ある意味最も「人間らしい」性質で、楽しみとか娯楽に関わる性質になります。

「ラジャス質」人間のあらゆる行為の「元」になっているもので、さらにその行為の性質は「ダルマ」(道義)「アダルマ」(道義に反すること)の2通りに区別されます。

行為を表す性質であることから現代では、このラジャス質の元で費やされる時間は昼間の8時間、つまり働いている時間と考えられています。

ちなみに…「ラジャス」という言葉が単に悪魔的な意味(笑)を持つと説明される場合があるようですが、前述の通り悪い意味だけではありません

行為の性質はダルマとアダルマに分かれますので、どちらを行うのかは個人の選択、ということになります。ラジャス質そのものが悪いのではなく、どう使うか…にかかってくるということです。

「サットヴァ質」は、ダルマな行為を行うことでダルマの結果をもらたす性質と同時に、ラジャス質から解放されたという意味も持ち合わせています。3種類の中で一番「高次な性質」ですね。

タマスとラジャスに費やされる時間は、それぞれ8時間ずつ概ね「固定」(笑)と考えられますが、残りの8時間を自分はどのように使うのか…

この8時間の使い方が、「サットヴァ」質になれる・なれない を大きく左右します。

リコメンドされているのは、朝方の4時間と夕方の4時間をサットヴァ質の活動に費やすこと。つまり、聖典の勉強をしたり、ヨガをしたり、でしょうか。

ところが、多くの現代人はそんなことに時間を使いませんよね。娯楽を楽しんだり、テレビを見たりするでしょう。そのため、トリグナの性質バランスは普通、タマス質またはラジャス質に傾くことになります。

よくありがちなのが、「聖典を勉強したいけど、忙しくて時間がない」という言い訳。これはまさに、ラジャス質にとらわれていることを意味していると先生から教わりました。なるほど、です。

つまり、サットヴァ質になるためには「特別の努力をして、時間を作ることが必要」なのですね。これってまさに、プルシャルタそのものだと思います。

そんな感じで、グナのバランスをサットヴァ優位にする「努力」ができるか否か。

更に、ラジャス質に促されて行為を行うのではなく、ラジャス質にコントロールされないで(ラジャス質を超越して)上手に使いこなすことができるように精進し、ヴェーダを勉強する道を選ぶか。

…こういった性質が、プルシャルタに繋がっていくのだと思います。

また長くなりましたので、次回に続く…にしまして、次回はウパニシャッドから引用しながら、更に「解脱」について検討してみたいと思います。

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