闇の公子 Night’s Master

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前回のブログで「ゴス」云々の話をしましたが、音楽やファッションだけでなく最近は読む本までダークになってきました(笑) 今、立て続けに読んでいるのは「ダーク・ファンタジーの女王」と言われているタニス・リーさんの著書。

この中に、おそらくツイン・フレームと言えるであろう男女を描写した部分があるのですが、とても素敵なので引用にて紹介いたします。

二人の美しさは、疵一つない完全体を形造る二つの部分のみが持ち得る美しさであった。(中略) 男の中の獣的なものは鎮められ、女の中の沈滞したものは活気づけられていた。(中略) それぞれの中の不均衡は相手によって釣合を取り戻し、正確無比になっていた。陰は陽と並び、分かれていた道は溶け合った。鉄は絹であり、絹は鉄であった。その結果は安らぎ、叡智、力、魔法 ー 世界で唯一つ、真に完全なものであった。

2人は闇の公子(妖魔)であるアズュラーンを見ても怖がりません。

アズュラーンを他人事のような優しい眼差しで見守るばかりであった。神とは、唯一神とはこうもあろうかと思わせるもの ー 分裂を知らぬ、完成を見た魂 ー を湛えていた。二人の人間でありながら一人なのであった。

そんな二人を見て、さすがの妖魔も心を打たれます。一瞬ですが悪よりも好ましいものに感じたようです。

「二度も分かつにはみごとであり過ぎる」公子は言った。「この世でいかほどの値打ちを持つかは知らぬが、わが祝福を受けて旅立つがよい」

なんと、かの妖魔が二人の姿に感銘を受けて祝福の言葉を与えたのです。これぞまさしく「愛は勝つ」を描写している場面の一つ、と言えるのではないでしょうか。

「二人の人間でありながら一つ」や、「真に完全なもの」「分かれていた道が溶けあった」そして「分裂を知らぬ、完成を見た魂」などの描写は、まさにツインフレームの特徴そのものを表している、と思います。

もう一つ、「愛は勝つ」が見事に描かれている場面があります。悪の力で地球が滅びそうになっている場面・・アズュラーンはこれまで人間に様々な「妖魔的ないたずら」を行ってきましたが、闇が燦然と輝く??ためには人間の存在が必要であることを自覚しています。人間がいないと「寂しい」のです。

神に「地球を助けてくれ」と頼みに行きますが、神は「いやだね」とお断り(^^;) そこで、アズュラーン自ら原因となっている「憎悪」と対峙します。

予の番だ。そのほうと会見が叶うのは予をおいてない。妖魔の狡智、叡智を思い出さぬ者がいようか? 忌まわしい者よ、ただ予のみがそのほうを滅ぼせるのだ

確かにアズュラーンは「憎悪」を滅ぼすことができます。でもそれは、自らの死をもって、という意味なのです。

妖魔は昼間の世界では行きられません。太陽に当たると死んでしまうのですが、そのときのエネルギーを用いて「憎悪」に致命傷を与えます。

この場面では少しずつ太陽からの光が差し込み始めますが、アズュラーンは闇に戻ろうとしません。あせった「憎悪」は「早く闇に戻ったほうがいいんじゃないか」とアズュラーンを追い払おうとしますが・・

微動だにしないアズュラーンに「憎悪」は慄きます。自己犠牲? それほど地球を愛しているはずはないだろう、という思い。やがて太陽が完全に上り、焼き尽くされて灰となったアズュラーンが「憎悪」の顔に吹き付けられます。

憎悪には耐えられなかった。憎しみを食べて行きていた憎悪は、否応なしに愛を食べさせられたのであった。愛はその息を詰まらせた。あらゆる悪人の中でも最も邪悪なアズュラーンの愛、そのようなものを超越した神々がもはや心にかけなくなった地球に対する妖魔の王の愛ではあったが。閃光と轟音のうちに大爆発が起きた。妖魔の地球への愛が、地球の憎悪を滅ぼしたのであった。太陽がアズュラーンを滅ぼしたように。

ここの部分だけ読んでもちょっと涙がでてきませんか(笑)?

でも、最後まで読むと、読者に笑顔が戻るような仕掛けがあるのです。素晴らしすぎる・・タニス・リーさん、まさに「女王」(´∀`●)

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